アメリカが禁止に動いた着色料 — あなたの子どものおやつは大丈夫?
スーパーのおやつ売り場で、子どもが真っ先に手を伸ばすのは、色鮮やかなグミやキャンディ。赤、青、黄色――あのワクワクする見た目が、子どもの心をつかむことは親なら誰でも知っています。
でも、もしその「色」が、お子さんの落ち着きや集中力に影響しているとしたら?
2025年、アメリカのFDA(食品医薬品局)が石油由来の合成着色料を食品から段階的に廃止すると発表しました。この決定の背景には、子どもの行動への影響を示す数十年にわたる研究の蓄積があります。
この記事では、何が起きているのか、日本ではどうなのか、そして明日からできることを、根拠とともにお伝えします。
1. FDAは何を決めたのか
2025年、アメリカ保健福祉省(HHS)とFDAは、食品供給から石油由来の合成着色料を段階的に廃止する方針を発表しました。対象となるのは、アメリカで食品に使用が認められていた石油系合成色素8種です。
- Red No.3(赤色3号)の食品使用を禁止 — ラットを用いた実験での発がん性データが根拠
- 残りの石油系合成着色料7種についても、段階的な廃止スケジュールを設定
- 食品業界には移行期間が設けられ、天然由来の代替着色料への切り替えを促進
https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/hhs-fda-phase-out-petroleum-based-synthetic-dyes-nations-food-supply
この決定は突然出てきたものではありません。ヨーロッパでは2010年から合成着色料を含む食品に「子どもの活動や注意に悪影響を及ぼす可能性がある」という警告表示が義務づけられています。アメリカはそこから15年遅れて、より踏み込んだ「禁止」という判断に至りました。
2. 着色料と子どもの行動 — 研究が示していること
合成着色料と子どもの行動に関する研究は、1970年代から蓄積されてきました。中でも転換点となったのが、2007年にイギリスのSouthampton大学が発表した研究です。
研究から分かっていること
- 合成着色料はADHDの「原因」ではありません。ADHDは脳の発達に関わる神経発達症であり、着色料で発症するものではありません。
- ただし、一部の子どもで症状を悪化させる可能性があります。多動性、不注意、易刺激性(イライラしやすさ)が増すことが複数の研究で一貫して示されています。
- 影響の大きさには個人差があります。すべての子どもに同じ影響が出るわけではなく、遺伝的な要因や腸内環境なども関係していると考えられています。
- 着色料単体ではなく、保存料との組み合わせが影響を増幅する可能性もSouthampton研究では示唆されています。
3. 日本の現状 — 認可されている合成着色料
日本では現在、12種類のタール色素(石油由来の合成着色料)が食品添加物として認可されています。アメリカやEUと比較すると、規制は緩やかな状況です。
| 色素名(日本名) | 国際名 | 米国での状況(2025年以降) |
|---|---|---|
| 赤色2号 | Allura Red AC (Red 40) | 段階的廃止対象 |
| 赤色3号 | Erythrosine (Red No.3) | 使用禁止 |
| 赤色40号 | Allura Red AC | 段階的廃止対象 |
| 赤色102号 | New Coccine | 元々未認可 |
| 赤色104号 | Phloxine | 元々未認可 |
| 赤色105号 | Rose Bengal | 元々未認可 |
| 赤色106号 | Acid Red | 元々未認可 |
| 黄色4号 | Tartrazine (Yellow 5) | 段階的廃止対象 |
| 黄色5号 | Sunset Yellow (Yellow 6) | 段階的廃止対象 |
| 青色1号 | Brilliant Blue (Blue 1) | 段階的廃止対象 |
| 青色2号 | Indigo Carmine (Blue 2) | 段階的廃止対象 |
| 緑色3号 | Fast Green (Green 3) | 段階的廃止対象 |
日本の子ども向け食品でよく見かける製品カテゴリ
合成着色料が使われやすい子ども向け食品には、以下のようなものがあります。
- グミ・キャンディ(特にカラフルなもの)
- かき氷シロップ・ゼリー飲料
- 駄菓子(ガム、ラムネ、ねるねるなど)
- 漬物・福神漬け(赤色系着色料)
- たらこ・明太子(赤色系着色料)
- 一部の菓子パン・ケーキの飾り
4. 裏面表示の見方ガイド
「合成着色料を避けたいけれど、どこを見ればいいの?」という方のために、食品パッケージ裏面の原材料表示の読み方を整理しました。
チェックポイント1: 「/」の後ろを見る
日本の食品表示法では、原材料名の中で添加物は「/」(スラッシュ)で区切って表示されます。スラッシュの後ろに並んでいる成分が添加物です。ここに着色料の記載があるか確認しましょう。
チェックポイント2: 合成着色料の表記パターン
合成着色料(タール色素)は、以下のような名前で表示されます。
| 表示例 | 意味 |
|---|---|
| 赤色○号、黄色○号、青色○号、緑色○号 | 合成着色料(タール色素)です |
| 赤○、黄○、青○ | 上記の略記。同じく合成着色料です |
| 着色料(赤色3号) | 用途名と物質名の併記。合成着色料です |
| 着色料(カラメル、クチナシ、ベニコウジ) | 天然由来の着色料です(番号がない) |
| 着色料(ビートレッド、アナトー、ターメリック) | 天然由来の着色料です |
チェックポイント3: 「着色料不使用」の表記
「合成着色料不使用」と書かれていても、天然着色料は使われている場合があります。天然着色料にも種類があるため、特定のアレルギーがある場合は天然着色料の成分名まで確認しましょう(例: コチニール色素は甲殻類アレルギーの方に反応が出る場合があります)。
5. 天然色素で「見た目もワクワク」な代替案
「合成着色料を避ける=地味なおやつ」ではありません。天然の素材でも、子どもが喜ぶカラフルなおやつは作れます。見た目はワクワク、中身は安心。そんなおやつの選び方をご紹介します。
ブルーベリーの紫
アントシアニンによる天然の紫色。ヨーグルトに混ぜるだけで鮮やかなパープルに。抗酸化作用も。
にんじん・かぼちゃのオレンジ
ベータカロテンによる天然のオレンジ。蒸してマッシュすれば、パンケーキやマフィンの生地に使えます。
いちご・ビーツのピンク
フリーズドライいちごを砕いてパウダーに。ビーツパウダーも天然のピンクを出す優秀な素材です。
抹茶・ほうれん草のグリーン
抹茶パウダーなら手軽に鮮やかなグリーン。ほうれん草パウダーは味のクセが少なく使いやすい食材です。
ターメリックのイエロー
クルクミンによる天然の黄色。ごく少量で鮮やかに色づきます。ラッシーやクッキーの色付けに。
ココアのブラウン
純ココアパウダーで自然な茶色。鉄分・食物繊維も含まれ、お菓子作りの定番素材です。
6. 保育園・幼稚園向けチェックポイント
園でのおやつ提供は、保護者からの信頼に直結します。「何を出しているか」を明確に説明できる体制は、園の食育方針の柱になります。以下は、合成着色料の観点から確認しておきたいポイントです。
- おやつの原材料表示に合成着色料(赤色○号、黄色○号など)が含まれていないか確認する
- 業務用おやつの納入業者に「合成着色料フリー」の選択肢があるか問い合わせる
- 季節のイベント用おやつ(クリスマスケーキ、ひなあられ等)も同じ基準でチェックする
- 保護者への食育だよりで、園のおやつ選定基準を年1回は共有する
- アレルギー対応と合わせて、着色料の方針も給食委員会の議題にする
保護者への説明のヒント
保護者から「うちの園ではどうなっていますか?」と聞かれたとき、以下のような説明ができると信頼につながります。
食育活動のアイデア
合成着色料の話題は、子どもたちの「食べ物への好奇心」を育てるきっかけにもなります。
- 色水あそび: ブルーベリー、ターメリック、ビーツなど天然素材で色水を作る。「食べ物にはこんな色が隠れているんだね」と気づきを促す
- 裏面たんけん: 年長クラスで、おやつのパッケージ裏面を一緒に見る時間を設ける。文字が読めなくても「ここに何が入っているか書いてあるんだよ」と伝えるだけで食への関心が変わる
- おやつの色クイズ: 「このゼリーのオレンジ色は何からできているでしょう?」とクイズ形式にすると、自然な色と人工的な色の違いに興味を持つきっかけに
7. よくある質問
Q. 合成着色料はADHDの原因になるのですか?
合成着色料はADHDの直接的な原因ではありません。ADHDは遺伝的要因や脳の発達に関わる神経発達症です。
ただし、Southampton大学の研究(2007年)をはじめとする複数の研究で、合成着色料が一部の子どもの多動性や不注意を悪化させる可能性が示されています。FDAも2025年に、こうした研究結果を踏まえて石油系合成着色料8種の段階的廃止を決定しました。
「原因ではないが、影響を与える可能性がある」という理解が、現時点での科学的コンセンサスです。
Q. 日本で売られているお菓子にも合成着色料は入っていますか?
はい。日本では12種類のタール色素(石油由来の合成着色料)が食品添加物として認可されており、グミ、キャンディ、かき氷シロップ、駄菓子などに使われていることがあります。
ただし、大手メーカーを中心に天然色素への切り替えが進んでおり、「合成着色料不使用」と明記された商品も増えています。パッケージ裏面の原材料表示で「赤色○号」「黄色○号」といった表記がないか確認するのが最も確実な方法です。
Q. 天然着色料なら安全ですか?
天然着色料は植物や昆虫などの天然素材から抽出されたもので、石油由来の合成着色料と比べて行動面への影響の懸念は少ないとされています。
ただし、「天然=完全に安全」ではありません。たとえばコチニール色素(カルミン酸色素)は、まれにアレルギー反応を引き起こすことが報告されています。天然着色料であっても、成分名を確認する習慣を持つことが大切です。
本記事は食品添加物に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の食品や着色料の使用を禁止・推奨するものではありません。お子さんの食事や発達に関する具体的な相談は、かかりつけの小児科医や管理栄養士にご相談ください。
本記事の作成にあたり、AIを活用した情報整理を行っています。科学的根拠はFDA公式発表およびThe Lancet掲載の査読済み論文に基づいており、最終的な内容は編集部が確認・編集しています。